今回は、ホテルグランヴィア京都勤務のNADYAさん(インドネシア国籍/特定技能)よりお話を伺います。自身のキャリアと真剣に向き合い続けた結果、NADYAさんはプロの料理人としてホテルグランヴィア京都で働く道を選ばれました。

NADYAさんはこれまで何を考え、今どの様に日々を過ごされているのでしょうか。

来日のきっかけを教えてください。

大学で日本語を学んでいたことがきっかけです。今でこそインドネシアには日本語教育機関がたくさんあり、多くの方が就労のために日本語を勉強していますが、10年前は日本語を学ぶのは珍しいことでした。

私は昔から「自分にしかできないことを見つける」ことにこだわりを持っており、多くのインドネシア人が学ぶ英語や中国語ではなく、日本語を勉強することに決めました。

日本語をある程度習得した後、次は日本語を使いながら手に職をつけたいと考え、興味があった調理分野を深めるため、専門学生として来日を決めました。

現地では授業以外にどの様な方法で日本語を練習されたのでしょうか。

日本人観光客を捕まえて日本語会話の練習をしていました。あとはアニメのシャドーイングなど、独り言に近いですが、話す機会を作っていました(笑)

お若いときから自身の強みやキャリアを追求されてきた印象ですが、何かきっかけがあったのでしょうか。

幼少期から負けず嫌いで学校の勉強を頑張っていたのですが、残念ながらあまり成績はよくありませんでした(笑) 

ただし言語系科目は得意で、学年1位の成績を取れたこともあったことから、自身の強みを伸ばす考え方を持ちました。

日本語学科を卒業してから、インドネシアにて1年間日本語通訳の仕事をやっていたのですが、そこで言語以外のスキルも持つことの必要性を感じました。

強みを2つ以上持つことで、一層社会の役にたてると考えています。

日本には、私と同じ日本語能力試験N2レベルに合格している外国人はたくさんいるので、私はそれに加えて料理の腕も磨くことで、代替困難な存在になりたいです。

自分はインドネシア華僑で、先祖が中国からインドネシアに来たときには差別もあり、商売で大変なことも沢山あったと聞いています。

その様な先祖の話や、これまでの自身の生活の中での気付きから、今の価値観がつくられていったのだと思います。

来日前と来日後で、日本の印象は変わりましたか。

高校生のとき日本語塾に通っていたのですが、そこで成績優秀者として奨学金を貰い、短期間ですが初めて来日する機会を得ました。

当時ギャップはあまり無く、従来から抱いていた「安全でおもてなしのすごい国」という印象のまま帰国しました。

次は大学生のときに交換留学生として来日し、その際は自身のキャリアに危機感を覚えました。

特に中国や韓国からの留学生は日本語が上手く、言語だけでは勝ち残っていけないと思わされることが多々ありました。

また、日本には努力家がたくさんおり、自身が井の中の蛙だったと感じさせられました。

調理職の中でも、ホテルグランヴィア京都で働こうと思ったきっかけを教えてください。

教育カリキュラムが充実しており人材教育への熱意を感じたことと、福利厚生が充実していたことです。

また、大きなホテルなので色々なジャンルの料理にチャレンジができ、自身の成長に繋がると感じました。

ここだけの話、筆記試験が無かったことも大きな理由です(笑)

まわりの調理職希望者は、個人経営の飲食店への就職も多かったですが、私は安心できる大手企業でキャリアをスタートする道を選びました。

特定技能1号試験は難しかったですか。

私は調理専門学校を卒業していることもあり、難しいとは感じませんでした。

N3程度の日本語能力があれば、テキストでしっかり対策すれば問題ないと思います。

1日の仕事の流れを教えてください。

今は宴会調理の部署にいるので、基本的に毎日宴会対応をしています。

朝出勤したら、午前中は当日の宴席用料理の盛り付けを行います。

午後以降は、翌日以降の宴会の仕込みとして、野菜の下茹でやスープの仕込みなどを担当しています。

まだ1年目なので、味付けなど本格的な調理業務に入ることはありませんが、毎日少しずつできることが増えています。

休日の過ごし方を教えてください。

学生時代の友人と外出したり、家事や料理をすることが多いです。

料理のためにスーパーへ行くと、日本の旬の食材について勉強することができます。

最近はフグの調理師免許の勉強にも時間を割いています。

今後のために資産形成も必要と思い、最近はインドネシア株式投資について勉強を始めました(笑)

「外国人として働く」ことの難しさを感じられたことはありますか。

言語面はもちろんですが、上司や先輩との付き合い方に慣れるのに時間がかかりました。

インドネシアでは上下関係がほぼ無く、仕事仲間とプライベートな話をすることが多いです。

日本では、上の方々が気を遣って、部下と一定の距離を置く傾向が強いと感じます。

より多くの企業が外国人の受け入れを進めるためには、どの様な工夫が必要ですか。

日本人は今でも「石の上にも3年」の文化が強くあることに加え、自身キャリア設計を強く意識しない人が多いと思います。

外国人は自分の市場価値を強く意識する方が多いので、会社でどの様なスキルが身に着けられるか、はっきりと示してあげることが大事と感じます。

また、個々人の能力を正確に把握し、「その人なりに頑張った」を認めてあげる文化も大事と思います。

失敗を許さない雰囲気が強いと、萎縮をして普段しないミスをしてしまうこともあると感じます。

これからのキャリアプランについて教えてください。

多くのスキルを身につけながら、日本でできるだけ長く働きたいと考えています。

NADYAさん、示唆に富む貴重なお話をありがとうございました!