第2回では、大阪府吹田市の総合ビルメンテナンス会社「株式会社アールシーエス」で働くフィリピン人社員のお二人からお話を伺います。
左:JEREMY BRILLANTEさん、右:NAOKI CRUZさん
15年以上前から、フィリピン人を中心に外国人雇用を続けてきたアールシーエスさん。「やる気のある社員にはどんどんチャレンジして貰う」社風の中、お二人は20代中盤で既に現場を統括する立場を担われています。これまでどの様な経験を積まれ、何を感じられてきたのか、伺っていきたいと思います!
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来日のきっかけを教えてください。
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JEREMYさん:
母親の仕事の都合で、中学生の頃にほぼ日本語も話せない状態で来日しました。母親は日本で英語を使った仕事をしていました。フィリピン人は英語が話せる人が多いので、就労機会も多かったのだと思います。
NAOKIさん:
同じく、親の仕事の都合で来日しました。中学生になりフィリピンでの生活が楽しかった頃だったので、母国を離れるのには少し抵抗がありました。ただ、NAOKIという日本名をつけた時点で、両親は私に来日させるつもりだったのかもしれません(笑)。当時の両親は、日本語を学んでおけば生活には困らないという考えだったと思います。
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日本語ゼロからここまで流暢になられたのは凄いですね。日本語はどの様に習得されたのでしょうか?
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お二人:
多文化共生に注力している中学・高校に通いながら、大阪府提供の日本語教習に毎日通いました。日本語講習は外国人のみで受講していましたが、学校では日本人生徒たちと一緒に授業を受け、基本的には日本人と同じ生活を送っていました。
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就職のきっかけや、就職当初の苦労について教えてください。
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お二人:
高校の先輩や友人がアールシーエスでアルバイトをしており、紹介されてアルバイトとして入社しました。特にホテルクリーニングの仕事に興味があった訳ではなく、当時の志望理由は「知り合いと一緒に楽しく働ける」という点のみでした(笑)。
苦労した点は、「質問して良いこと、悪いこと」の区別が付かず、日本人上司に質問する勇気が出なかったことです。その点では、気軽に聞けるフィリピン人の先輩がいたことが救いになりました。今ではその様な苦労は無いですが、他の職場でも多くの外国人が同じ悩みを持っているのではないかと思います。助けようとしてくれる日本人も多くいましたが、説明を分かりやすくするために使ってくれる和製英語が理解できずに逆に苦しむ、ということもありました(笑)。
仕事自体は、時間帯によっては忙しくハードでしたが、年齢・国籍問わず活躍できる雰囲気に惹かれ、高校卒業後に正社員転換させて貰う事としました。
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学生時代からアールシーエスさんで働かれていたのですね。日本で就職して良かったと感じることはありましたか?
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お二人:
来日は自分の意志ではなかったですが、結果的に良かったと思っています。毎日楽しく働けているのは勿論、日々自分が成長出来ていることを実感します。社内でとても重視されているのは「おもてなし」の心で、常に遠方からホテルへいらっしゃるお客様の喜ぶ顔を思い浮かべながら仕事をしています。これは日本企業ならではの教育だと思います。
また、アールシーエスの良い点として、「年齢や国籍関係なく、やる気のある社員に任せる」文化があると思います。我々はまだ20代中盤ですが、お客様(ホテルやホテル運営会社)とのミーティングに毎日出席し、指示事項を数十名の自社日本人パートさんに伝達します。お客様の声を正確・簡潔に伝える必要がある為、お客様から指示を受けた後、自社ミーティングまでのわずかな時間を使って、必死で話す内容をスマホに書き起こします(笑) 大勢の前で日本語を話すことに慣れず、最初はとても緊張しましたが、「現場を担う責任感持って働く」ことに少しずつ慣れてきたと感じます。
NAOKIさん:
私は常に「自分の限界に挑戦する」ことを意識しており、自身の能力を伸ばすためにある現場の総責任者ポジションに立候補しました。今はまだ引き継ぎ中ですが、引き継ぎが完了すると100名以上の現場を統括する立場となるので、自分にとって大きなチャレンジです。
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お二方は既に管理職的なお仕事もされているのですね。企業が外国人の受け入れを進めるためには、どの様な工夫が必要と感じられますか?
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お二人:
日本人と外国人では「常識」が異なることを意識すべきと感じます。日本にいるのですから、お客さんが日本基準のサービスを求めるのは当然です。ただし、社内で指示出しをする際などは、前提となる知識・常識が各々異なることに注意が必要です。例えば就業開始時間の10分前に現場に到着する、などを常識として認識していない外国人もいるので、明確に指示をしてあげる必要があります。また、就労初期の定着には、「何でも質問できる相談相手」ポジションの上司・同僚をつけてあげる事も大事だと感じます。
既に日本で大きな成果をあげられているお二人からお話を伺い、とても勉強になりました。
JEREMYさん・NAOKIさん、お時間頂き有難う御座いました!