第4回では、カワソーテクセル株式会社に勤務されるニンさんとトゥイさん(ベトナム国籍/技人国)にお時間を頂きました。日本の専門学校で勉強されたおふたりが、いざ社会に出てみて何を感じられているのか、じっくり伺っていきます。 また、今回はニンさんとトゥイさんの上長である日本人おふたりからも、応援のメッセージを頂きました!
カワソーテクセル株式会社は、明治10年創業の老舗企業でありながら、高度外国人に活躍の場を提供すべく先進的な工夫を取り入れられております。同社長の稲付様は、関西経済連合会の「グローバル人材活用運営協議会」にて会長職も任されており、自社のみならず社会全体での高度外国人材活用に向け活動されています。
左から:トゥイさん、ニンさん
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来日のきっかけを教えてください。
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ニンさん:ベトナムでは日本製品が広く流通しており、品質が高く信頼されていることから、日本という国に興味を持ちました。また、私には妹2人と弟1人がおり、経済面で両親を助ける為、ベトナムよりも給与の高い国で働きたいと思ったのが来日のきっかけです。
トゥイさん:私も同様の理由で日本に興味を持ち、高校時代に第二外国語として日本語の勉強を始めました。日本語は難しく、ベトナムで勉強するだけでは不十分と感じたので、まずは留学生として来日することを決めました。
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来日後に日本の印象は変わりましたか?
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おふたり:ほぼ変わりませんでした。治安が良く、人々は真面目で時間を守るというイメージでしたが、正にその通りでした。少し想定外だったのは、思ったより気さくな方が多く、日本に不慣れな私たちのことを気にかけてくれたことです。特に大阪の年配女性たちは、話かけてくれる割合が高いと感じます(笑)
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カワソーテクセルで働こうと思ったきっかけを教えてください。
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ニンさん:ベトナムで触れた日本製品の品質や耐久性に魅了され、日本で製造業に従事することに興味を持ちました。専門学校では設計関連の勉強をしてきたので、進路としては様々な業種が考えられましたが、カワソーテクセルの説明会で経営陣や従業員の人柄に触れ、働きやすそうと感じました。また、製品の中には交通システムに関連するものが多くあり、今後発展していくベトナムに貢献できそうと感じました。
トゥイさん:パンフレットやWebサイトを見ただけでは、何に使われる製品を造る会社なのかよく理解できませんでした。就職活動の一環として参加させて頂いた、1週間のインターンシップを通じ、会社への理解が深まりました。インターンシップでは、図面ソフトでの作業や工場見学をさせて頂きましたが、その際従業員の方々がとても親切に接してくださりました。また、同じ時期にベトナム人の同胞が一緒に入社したことも安心に繋がりました。
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1日の仕事の流れを教えてください。
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おふたり:朝の出勤後、まずはグループ内で朝礼を行います。浦川チーフマネージャーを筆頭とする6名の内、半数にあたる3名が外国人で、もちろん私たち外国人からも作業進捗の報告を行います。朝礼の後は主務である設計業務に移りますが、営業とのすり合わせやお客様との面談・試験立ち合いを行うこともあり、日本語と専門知識の両方をフル活用しながら仕事をしています。
また、実務の進捗報告の場として、毎月経営層との会議が設定されておりますが、この日は少し緊張します(笑) 報告内容は勿論ですが、日本語を正確に使えているかを普段以上に気にしながら臨んでいます。まだ入社1年目ですが、少しずつ責任のある仕事を任される様になってきています。
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入社前のイメージ通りの仕事でしたか?また、母国の働き方との違いがあれば教えてください。
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トゥイさん:基本的にはイメージ通りですが、学校で学んだ内容を実務に応用させるところで少し苦労しました。例えば私は専門学校で2D・3D AutoCADを勉強してきましたが、実社会で使用されているものは仕様が少し異なり、新しいコマンドの学習などに時間を要しました。働き方や職場の雰囲気については、インターンシップを通じて抱いたイメージと特段変わっていません。
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休日の過ごし方を教えてください。
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ニンさん:疲れている週末は読書などをして家でゆっくり過ごすことが多いです。部品の品質試験が多い週は、週末には疲れて出不精になってしまうことが多いです(笑) 元気がある週末は、友人たちと小旅行に出かけることが多いです。
トゥイさん:友人たちとカフェめぐりをすることが多いです。夜は湯船にお風呂を入ってゆっくりするのが好きです。
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より多くの企業が外国人の受け入れを進めるためには、どの様な工夫が必要ですか?
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おふたり:同じ入社タイミングで、外国人を2人以上採用してあげるのは良いと思います。いくら良い会社でも、1人で入社するのは不安と感じる外国人が多いので。また、旧正月のタイミング等で纏まった期間一時帰国したいケースがあるので、柔軟に休みを取れると嬉しいと思います。
周りの話では、給与で揉めるケースも多くある様なので、額面給与と手取り給与の違いを丁寧に説明してあげる必要があると思います。ベトナムは日本より社会保険が安いので、日本の控除額に驚く人が多くいます。
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これからのキャリアパスについて教えてください。
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トゥイさん:まだ入社1年目なので、まずは今任せて貰っている仕事を着実にこなし、ミス無く働ける様になりたいです。
ニンさん:私も同様で、すぐに上のポジションを目指すというよりも、まずは実務をしっかりこなせる様になって、人の役に立てる仕事をしたいです。
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上長のお二方からもエールを頂ければと存じます。
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高橋工場長、浦川チーフマネージャー:
二人とも仕事にとても真摯に取り組んでおり、新入社員ながらも自分の見解をはっきりと述べられる強さがあります。プロジェクトの進め方に関する提言をしてくれることもあり、とても助かっています。設計の仕事は、シミュレーションと現物試験を併用しながら進めることが大事なので、現物をよく見ながら日本のものづくりを学んでほしいと感じます。また、新入社員が経営層と直接報告するというのは、なかなか無い機会と思うので、緊張するかもしれないですが引き続き頑張ってほしいです。
国籍や性別問わずどんどん仕事を任せながらも、しっかりとアフターフォローをされていることが、外国の方々にとっても働きやすさに繋がっているのでしょうね。
また、お二人の週末の過ごし方やキャリアプランが、日本の若い方々と大きく異ならないことが印象的でした。言語の壁はもちろんありますが、これからも採用のグローバル化は続いていくのでしょうね。お時間を頂きありがとうございました!